確定申告とは、1年間の所得に対する納税額を計算して申告し、納税するための手続きです。税収の3割がこの確定申告により申告、支払いされる所得税となっていますので、とても重要な手続きとなります。
会社員などの給与所得者は、会社で年末調整を行っているため確定申告をしなくても納税すべき所得税が決まっていますし、毎月源泉徴収という形で所得税を支払っていますので、確定申告をする必要ありません。個人事業主やフリーランスなどの事業所得がある人、副業等の所得が20万円以上ある人は、給与所得者でも個人で確定申告をする必要があります。
このページでは、初めて確定申告が必要になった方に向け、基本的な内容から、実際に確定申告を行う方向けに比較的簡単に確定申告ができるように情報をまとめています。
確定申告の種類
確定申告とはいったい何なのでしょうか・・・?
確定申告は所得の申告を行う行為です。確定申告には、青色申告と白色申告の2種類あり、それぞれに要件や受けられる控除、手続きの方法が異なります。
白色申告
確定申告は通常は白色申告を行います。青色申告に変更するためには手続きをしなければなりません。
白色申告の特徴は、開業届や青色申告承認申請書の提出が不要で、複式簿記での帳簿作成や複雑な作業をする必要がありません。つまり簡単に申告を行うことが出来る。という事です。会計の知識が少ない人や初心者でも簡単に確定申告ができるというメリットがあります。
その代わり、受けられる控除は基礎控除のみとなり、納税の金額面においては、青色申告かないません。節税のメリットがない。という特徴があります。
青色申告
青色申告は、控除額が大きく節税面でメリットが大きいことが特徴です。
事業所得や不動産所得などがあり、税務署に「開業届」及び「青色申告承認申請書」を提出した事業主が利用できる申告方法です。
青色申告では申告に際し、複式簿記による帳簿や青色申告決算書の作成、関連書類の保存(7年間)などがあります。帳簿類が多く、初心者には難しいですが、青色申告にはさまざまな節税メリットがあります。
青色申告による節税メリット
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 最大3年の事業損失(赤字)の繰り越し
- 減価償却の特例(※)が使える
- 貸倒引当金の計上ができる
- 青色事業専従者給与を経費計上できる
※通常、10万円以上の車やパソコンなどは、耐用年数の期間に応じて分割で経費計上しますが、青色申告は30万円未満であれば一括で経費計上することが可能です。
青色申告特別控除として、最大65万円の控除を受けることが出来ます。65万円の控除を受けるには電子帳簿保存による帳簿保存、またはe-Taxを利用した確定申告書及び青色申告決裁書の提出が必要です。
確定申告が必要な人
確定申告を行う方法として2種類あるのは分かりました。ではどんな人が確定申告が必要になるのでしょうか?
基本的に給与所得者や年金生活者以外の事業所得がある人は、確定申告が必要です。ただし、年末調整をする給与所得者の方でも、以下に該当する人は確定申告が必要になります。
確定申告が必要な人をまとめてみましょう。
- 年末調整を行っている会社員等ではなく、フリーランスや個人事業主、法人等の事業収入がある人
- 2,000万円以上の給与所得がある人
- 給与所得以外に年間20万円を超える給与所得以外の所得がある人
同族会社の役員やその親族などで、その会社からの給与以外に貸付金の利子、店舗や工場の賃貸料、機械や器具の使用料の支払を受けた人
災害減免法により所得税などの源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
在日の外国公館に雇用されている人で、給与の支払を受ける際に所得税などを源泉徴収されない人 - 公的年金に係る雑所得が400万円を超える人
- 源泉徴収されない退職所得がある人
- 事業所得、不動産所得、山林所得がある人
- 株式投資をしている人
- その他、以下の計算で残額がある人
- (1)所得合計額-控除を差し引き、課税される所得金額を求める
- (2)課税される所得金額に所得税の税率を乗じる
- (3)所得税額から、配当控除額を差し引く
引用元:国税庁「確定申告が必要な方」
確定申告の必要書類
確定申告を行うために必要な書類を確認してみましょう!
確定申告の準備として、毎月の収支を記載した帳簿の作成が必要です。
(青色申告の場合、帳簿は複式簿記での作成が必要です。)
その他必要な書類については以下の通りです。
まずは、青色、白色の両方で必要な書類は以下になります。
青色、白色の両方で必要な書類
- 確定申告書 所得税及び復興特別所得税の確定申告書
- 本人確認書類 マイナンバーカード
または
個人番号がわかる書類+身分確認書類
(保険証・パスポート・運転免許証・在留カードなど)
青色申告で必要な書類
青色申告決算書 確定申告のために計算した事業所得や不動産所得の明細書
白色申告で必要な書類
収支内訳書 1年間の収入と支出の内訳を記載した書類
必要に応じて提出する書類
以下に該当する控除がある場合、確定申告書添付書類台紙に貼り付けて書類を提出する必要があります。
- 配当所得 ・申告する配当の種類に応じた支払通知書
- 特定口座年間取引報告書
給与所得 源泉徴収票(申告書作成に使用)
給与所得 源泉徴収票(申告書作成に使用)
年金所得 源泉徴収票(申告書作成に使用) - 医療費控除
または
セルフメディケーション税制 ・医療費の明細書
・セルフメディケーション税制対象のレシートや領収書
(健康診断、予防接種などの取り組みの証明、12,000円以上の市販薬のレシート) - 社会保険料控除 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 小規模企業共済等掛金控除
掛金額払込証明書
小規模企業共済掛金払込証明書 - 生命保険料控除 生命保険控除証明書
- 地震保険料控除 地震保険料控除証明書
- 寄付金控除 ・寄付した団体からの寄付金の受領書
- 勤労学生控除 学校や法人が発行した証明書
- 住宅ローン控除 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅借入金残高証明書
住民票の写し
その他必要書類 - 政党等寄附金特別控除 ・政党等寄附金特別控除額の計算明細書
寄付金(税額)控除のための書類
各種控除
所得控除は以下の種類があります。
- 雑損控除 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される 以下のいずれか多い方
- 医療費控除 一定額以上の医療費を支払った場合に適用される
- 社会保険料控除 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される
- 小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される 支払った掛金の合計額
- 生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される 一定の方法で計算した金額
- 地震保険料控除 地震保険料を支払った場合に適用される 一定の方法で計算した金額
- 寄附金控除 ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用される
- 障害者控除
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円 - 寡婦控除 その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用される
※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更 27万円 - ひとり親控除 納税者がひとり親であるときに適用される
※ひとり親控除は2020年分の所得税から適用 35万円 - 勤労学生控除 学校に行きながら働いている場合に適用される
※ただし、合計所得金額が75万円以下 27万円 - 配偶者控除 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) ・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上) - 配偶者特別控除 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合に適用される 配偶者の所得金額によって
最大48万円
※令和元年分以前は38万円 - 扶養控除 16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合に適用される ・一般控除対象扶養親族は38万円
特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
老人扶養親族は最大58万円 - 基礎控除 全ての人に適用される 所得金額によって最大48万円
所得税の計算方法と所得税率
所得税って幾らぐらいになるのでしょうか?目安でも費用感を知っておきたいですよね?所得税の計算方法などを確認してみましょう!
所得税の計算方法はシンプルで以下の計算式で確認することが可能です。
課税所得金額 × 所得税率 ー 税額控除額 = 所得税
上記の計算で所得税を求められますが、所得税率というのはどのような物でしょうか?所得税は所得によって税率が変わります。所得と税率の関係は以下の表で確認することが出来ます。
所得税率
所得税率は以下の表のとおりです。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
確定申告書の作成方法
確定申告に関する基礎的な情報は確認できました。
早速確定申告を実際に行う方法について確認してみましょう。
確定申告を行う場合、当然ですが確定申告書を作成する必要があります。確定申告書は、手書きで作成する方法や、専用ソフトを利用する方法等がありますが、おすすめの方法は、国税庁のホームページにある、各税申告書作製コーナーの機能を利用して作成するのがおすすめです。
確定申告書作成コーナー
確定申告書作成コーナーは国税庁のホームページから直接申告書の作成ができるツールです。画面の指示に沿って入力を進めていくだけで簡単に作成が可能で、納税額も自動計算される優れものです。申告書の作成途中で作業を止めても、途中から作業を再開することも可能です。
e-Tax
作製した確定申告書を含む書類は、税務署に提出する必要があります。
手支出方法は以下の4つの手段になるのですが、おすすめなのはe-Taxを利用した提出方法です。青色申告で65万円の控除を受けようとした場合、e-Taxでの提出が必須となります。
申告書の提出方法
以下の4つの方法で提出することが可能です。
税務署窓口に持ち込む
税務署の開庁時間(平日の午前8時30分から午後5時まで(土日祝休み))に直接持っていく方法
時間外収受箱
確定申告の提出だけであれば税務署窓口の開庁時間外でも提出が可能です。
郵送
申請期限は必着ではなく、消印の日付となります。提出の時間が無い時などは便利です。
e-Tax
24時間、自宅のパソコンなどを利用して提出可能
会計ソフト
確定申告を行うために税理士に顧問になってもらったり、決算処理をしてもらったり、税理士にお願いするケースもあるかと思います。こういったケースを含め確定申告を行う場合、実際問題としては、会計ソフトというものが必須になります。手書きで全てを完了するのは手間が多くかかります。
会計ソフトといってもパソコンにインストールせずにネット上で完結するものが多く、多くの機能があるのでとても便利でおすすめです。
有名な会計ソフトをいくつかご紹介します。
クラウド系会計ソフト
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